承認ガイドライン

GBIF参加者が新しい出版者を評価・承認するために必要なとプロセスと基準に関するガイドライン

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Yellow cobblestone lichen (Acarospora socialis). Photo by Ken-ichi Ueda via iNaturalist licensed under CC BY-NC 4.0.

新しいデータ出版者は、GBIF参加者に承認を求めなければなりません。このコミュニティ主導プロセスは以下を保証するためのものです。

  • データがGBIFのスコープと目的に合致すること。
  • データの保守が安定かつ持続的であること。
  • 国内、地域、および目的にあったネットワークがデータの公開と利用に積極的に取り組んでいること。
  • データがオープンで、再利用可能であること。
  • フィードバックに対応してデータ品質が向上できること。

承認のための基準

申請者が以下の基準を満たす善意の機関あるいは団体の正式な代表者として行動できると判断される場合、参加者ノードマネージャーは出版を希望する者を承認するべきです。

  1. GBIFのミッションに合致した科学的興味に関係するデータセットを、出版者が持っているか、将来持つ予定であること。
  2. 出版者が、オンラインで利用可能な標準形式のデータセットを保証できる技術的能力を持つか、技術的能力をもつ者の力を借りることができること。
  3. 出版者は、自身が出版したデータに関する詳細情報の要求あるいはフィードバックに応じることが期待できること。
  4. 出版者が、GBIFデータ出版契約の条項を理解し同意すること。

ノードマネージャーは、アンケートで提供された情報に基づいて、適切な場合には発行予定者と直接コミュニケーションを行ない、判断を下します。理想的には、出版者の条件は登録時に基準を満たす必要がありますが、必要要件を理解していることと、データ出版のための適切な計画を提示する必要(必要に応じて承認を与えるノードおよび/または事務局と共同で)があります。

参加者のための承認ガイドライン

承認のために最低限満たすべきこと

承認を与える者は、データ出版を希望する者が以下の点に十分対処しているかをチェックすることを強く推奨します。

研究機関・組織が実在することと、その信頼性

このステップによって、GBIFが実在する研究機関・組織のみを承認することが保証されます。学会やネットワークも組織として扱われます。

個人からのデータ出版は受け付けていませんが、機関/組織またはネットワークを通して出版することができ、個人は適切な信頼を受け、それぞれのデータセットの所有者または著者として引用されるべきです。機関の所在地と適切な連絡先が分かることにより、たとえばデータの質に関する質問やフィードバックに対応する際に、連絡とネットワークづくりが容易になります。

注:出版希望者には、片方の連絡先に連絡がとれない場合に備え、2つの連絡先を挙げるように強く推奨します

GBIFのミッションに沿ったスコープのデータか

これは、ノードが承認できるのを現在のGBIFの活動範囲に関連したデータセットを扱う機関のみとするためのものです。出版者候補に提供されるガイドラインでは、提供されるデータは次のように定義されます。

ノードには現在のGBIFのミッションの範囲外にあるデータを保持しているように見える機関の承認はしないことが求められます。この判断を助けるために、出版希望者はサンプルデータセットへのリンクを提供すること、および/または、利用可能な場合には、サンプルデniータのスプレッドシートを添付し、ノードに転送することが求められます。出版者によっては、さまざまな機関からのデータセットを扱うことがあるため、その機関の取り扱い範囲を超えたデータを提供することになることがあります。疑問がある場合は、GBIF事務局のヘルプデスクにご相談ください。

安定したデータの保守と保守可能なサードパーティの特定

GBIF.orgは、出版された一次データおよびメタデータをインデックスするデータアクセスサービスを提供します。オリジナルのデータを保守する責任はデータ出版者かデータ所有者にあります。

データの保守に関する質問に答えることは、データ出版者がまだ保守体制をもっていない場合には、ノードマネージャーと事務局が解決法を見出すための一助となります。多くの新規出版者が最初に登録するときには、この要件を満たさないかもしれません。

ノードマネージャーは、この基準がみたされるよう、可能な解決法を検討すべきです。ノード機関自体が技術的な保守解決案を提案したり、そのネットワーク内の他の出版者に、そのようなはたらきを依頼する場合もあります。事務局が代替の保守対策について、アドバイスを提供できる場合もあります。

GBIFデータ出版契約への同意

新規の出版者は、GBIF.orgにデータセットを公開することを期待し、登録を申請します。オープンアクセスと再利用文化を促進するというGBIFのコミットメントに従い、出版者には、不必要な制限をデータに最初から課すべきではないことを理解することが期待されています。承認を得るためには、出版者は出版契約において、指定された条件を受け入れる必要があります。この中には、GBIF.orgで出版するデータセットに対して、Creative Commonsライセンス(CC0、CC-BY、またはCC-BY-NC)の3つのいずれかを選択することが含まれます。

フィードバックへの対応

新しい出版者は、自身が提供するデータについてのユーザーからの質問やフィードバックに喜んで応じるべきです。出版者は必要に応じて、個々のデータセットの所有者に作業を任せることもできます。アノテーションとコミュニティによるキュレーションによって、将来的にこれらの作業の一部から出版者は開放されるかもしれませんが、一般的には、データソースで可能な限りデータの品質が保証されることが必要です。 この質問に対する否定的な答えによって、承認が拒絶されるものではありませんが、そのような場合には、ノードマネージャーは出版者に代替の解決案を出すよう促すべきです。なぜなら、この責任は公開されたデータの品質と価値を向上させる上で重要だからです。

追加的なガイダンス情報

承認の過程では、データセットはどの程度評価されますか?

機関による正式な承認には、(その機関がGBIFデータ出版者の範囲内にあることを確認するためにデータセットの例を調べること以外)データの評価は必要ありませんが、承認ノードと新しい出版者における作業中の関係を確立するため、承認ステージを機会として利用することは非常に貴重です。品質管理ルーチンの適用を含む、データセットの評価は、追加的なステップです。これは、いくつかのノードでは慣例化しており、GBIFネットワークを通じてアクセスされるデータの使用適合性を向上させるための、より幅広いコミュニティの取り組みの一部となっています。

承認者が疑義を生じたら?

アンケートで提供された情報についてノードマネージャーが何らかの疑問をもった場合は、確認のために出版者候補に連絡する場合があります。ノードマネージャーは、コミュニティ内での問い合わせ、オンラインの情報源、その他の調査方法によって、組織・機関に関しての注意義務の履行確認(due diligence)を行うこともあります。ノードマネージャーは、出版候補者によって提供される、利用可能なすべての情報と、必要に応じてその他の情報源からの情報を使用して公正な判断を下し、GBIFコミュニティのための良き「ゲートキーパー」としてその使命を遂行します。

データ出版者を承認することは法的な意味を持ちますか?

承認プロセスはGBIFコミュニティの手続きであり、法的手続きではありません。一般に、GBIFコミュニティは、制限を厳しくするよりも、包括的なアプローチを推奨しています。最初に基準に達していないことが見いだされた場合は、ノードは承認の拒否を推奨するより前に、可能な解決策を探すべきです。

承認が得られなかった場合、出版者候補は承認を得るため他のノードを探すことができますか、それとも決定に異議を申し立てることができますか。

原則として、GBIFコミュニティは非排他的であり、承認のための最低要件を満たすことができるように、出版候補者と協力するべきです。承認が否認された場合には、決定を申請者に通知できるように、ノードは事務局に対して理由を明確に説明しなくてはなりません。機関がその決定に同意しない場合は、その機関はノードの再考を求めることもできます。問題が解決されない場合、出版候補者はNodes Steering Group(NSG)に依頼を転送することができ、必要に応じてGBIF Executive(EC)が最終的な仲裁人として活動します。

承認は永久に有効ですか、それとも取り消されることがありますか?

原則として、承認は一度限りのプロセスです。万が一、承認された機関がGBIFへのデータ出版者として継続的に認められるためには不適切であると考えられた場合には、ノードは事務局に連絡し、その理由を説明することによって、承認を取り消すことができます。出版者がこの決定に異議を唱え、議論による問題解決が図られない場合、その機関をデータ出版者として継続できるかどうかは、ECが決定します。承認が取り消された機関は、再度の承認手続きを経て、新しいデータ出版者となることができます。その際には、承認取り消しの原因となった問題が解決されたことを証明しなくてはなりません。

参加ノードマネージャー委員会によって承認された出版者が存在する国が、GBIF参加国になった場合、どうなりますか?

ある国がGBIFに参加したときに、その国に参加ノードマネージャー委員会によって承認された出版者が既に存在する場合、承認は新しい国内ノードに移されます。

対応にかかる時間の目安

ノードは承認要求に対して迅速に対応することが求められ、すべての場合において30日以内に返答することが奨励されます。推奨基準を満たさない問題を出版候補者が解決する援助のためなどに、もっと時間が必要な場合は、ノードは事務局に進捗状況を知らせ続けるべきです。 30日以内に回答が得られない場合、Nodes Steering Groupは遅延の理由を調査し、最終的には、以下に概説するコミュニティレベルの承認のための手順に従います。

ノード運営グループによるコミュニティレベルでの承認のための承認ガイドライン

データ出版候補者がGBIF未参加の国に存在し、既存のノードと関係が築かれていない場合、事務局はNSGの以下の役職に連絡し、承認ノードを特定するように依頼します。

  1. 地域代表(該当する場合)
  2. 地域副代表(該当する場合)
  3. NSG議長(CC:)

各地域の代表と副代表には、出版者候補からのアンケートに対する完全な回答とガイドラインが与えられます。承認には1票あれば十分とします。

当該地域の代表および副代表がGBIF事務局およびNSGからの連絡に応答しない場合、あるいは合理的な期限内に承認プロセスを完了できない場合、NSGの議長は、出版者候補を承認することができます。

地域代表が選出されていない場合や、出版候補者が特定の参加者ノードと自然な交流がある場合、コミュニティによる承認プロセスに先立って、事務局はこのノードとの関係を確認し、出版候補者の希望に応じ、このノードをその他の承認者として優先します。

NSGを通じて行われるすべての承認は、ノード委員会による承認と見なされ、承認者としては集合的な呼称である「参加者ノードマネージャー委員会」だけがGBIFのウェブサイトに表示され、承認ノードの具体的な名前は表示されません。

ある国がGBIFに参加し、ノード委員会によって承認された既存の出版者が存在する場合、承認は新しい国内ノードに移されます。

コミュニティレベルでの承認に関する基準とガイドラインは、国家レベルでの承認に関するものと同一です。

(翻訳:細矢)