サンプリングイベントデータとは何か?
サンプリングイベントデータは時間と空間における種のオカレンスをサンプリング努力の詳細と併せて記載します。このようなデータは数千もの環境、生態学、天然資源の調査研究から得ることができます。1回限りの研究かもしれませんし、モニタリングプログラムということもあるでしょう。こういったデータは通常、定量的であり、較正され、特定の手順に従うため、個体群の変化や傾向を検出することができます。現在オープンアクセスの生物多様性データとして大半を占める観察・標本データは派生的であるため、対照的です。
データ出版とは何か?
GBIFにおいて「生物多様性データを出版する」とは、生物多様性データセットが標準形式でオンライン上に公開されアクセス可能な状態にすることです。国際標準に準拠したデータを出版することでGBIF.orgにデータを統合でき、出版されたデータセットをGBIF.orgウェブサイトや関連ウェブサービス上で発見しアクセスできるようになるため、分類、地域、期間、その他の基準でデータを検索しやすくなります。
サンプリングイベントデータを共有することで何が変わるか?
1回限りの研究、モニタリングプログラムのどちらにせよ、得られたサンプリングイベントデータは研究やグローバルポリシーへの適用において非常に価値があります。体系化されたモニタリング枠組みでは十分に定義されたサンプリング努力により特定の場所の種のデータが時間の経過とともに繰り返し得られるため、これらのデータは個体群・メタ個体群生態学、季節変化の研究、群集生態学、その他の生物多様性分野など主要な生態学的分析に役立ちます。群集構造やその他の指標の変化を追うことで、Essential Biodiversity Variables(EBV)として使えるようになります。
誰が興味を持つべきか?
科学者
多くの生態学分野とその分析方法において意味のある結果を得るために定量的なデータが必要となります。生態学は生物多様性分野において最先端の学問であり、ますます定量的なデータに依存しています。生物多様性の時間的・空間的構造とその動態を理解するためには、あらゆるスケール毎の相対的な種のアバンダンスデータが不可欠です。
政策立案者
Essential Biodiversity Variables(EBV)クラスの一つであるSpecies Populations(種個体群)に属するspecies distribution(種の分布)、population abundance(個体数アバンダンス)などEBVの多くは、サンプリングイベントデータが世界中から収集され形式の揃った状態で利用可能かどうかに依存します。EBVは証拠に基づく意思決定に直接影響を与えるものであり、サンプリングイベントデータの形式で共有されたレコードは全て国際公共財になると言えます。
サンプリングイベントデータを共有するにはどうすればよいか?
IPTを使ってサンプリングイベントデータを共有してください。手順書としてこちらのハウツーガイドを参照してください。より詳細な手順についてはサンプリングイベントデータのベストプラクティスを参照してください。
GBIF内外にある他のタイプのデータをどうやって一つにまとめるのか?
GBIFでは、豊富さを示す4種類の異なるレベル(データタイプ)で生物多様性データを共有できるようにしています。
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リソースメタデータ – データセットに関する構造化された情報でデータは含まない
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チェックリストデータ – 特定のカテゴリ(例.分類、地理、形質ベース、レッドリスト、穀物の近縁野生種)に属する種名リスト
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オカレンスデータ – 特定の場所で特定の日(大抵は日付)に発生した種のリスト
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サンプリングイベントデータ – 収集イベントおよび観察された種のリストで、サンプリング方法や定量的な情報、すなわちサンプリング努力の文書と併せて記述される
データが豊富であればあるほど下記の5つ質問により完全に答える必要があります。
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どんな 収集イベントが起こったのか?
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誰が サンプリングを行ったのか?
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いつ イベントが始まり、 いつ 終わったのか?
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どこで イベントが発生したのか? どこでサンプリングを行ったのか?
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なぜ サンプリングを行ったのか?
データはどう見えるのか?
以下にサンプルイベントデータ形式の構造の簡易図を示しました。この形式についてはサンプリングイベントデータのベストプラクティスに詳細な説明が載っています。またIPTハウツーガイドではサンプリングイベントデータセットの事例が多く掲載されています。