農作植物の野生原種にあたる作物野生近縁種(CropWildRelatives,CWR)は、それらからより高い収量と気候変動耐性を持ち、さらに栄養価の高い品種を育種できる可能性のある、重要な遺伝的多様性の源です。
CWRの生息域内保全に関連する地域を探るため、この研究では、GBIF上のグローバルCWRデータベースを用いて、167の主要作物の遺伝子プールから1,261の野生種に種分布モデルを適用しました。このモデルによって、地中海沿岸地方にCWRが最も集中し、レバノンとシリアの北東の国境上にはホットスポットがあることが明らかになりました。
将来の気候で、大部分のCWRの分布可能性が50%以上減少すると予測される作物の種類は根菜類、鱗茎菜類、塊根類ですが、穀類とマメ類もかなりの減少に直面する可能性が高くなりました。柑橘類は最も影響の少ない作物でした。
著者らは、保全する地域に優先順位をつける間に、トップ150地域を保護するために世界の全陸地わずか0.01%しか必要としないことを見出しました。既存の保護地域の内側と外側それぞれの上位10地域を保全するだけで、475種のCWR種と1,200以上のCWRと作物の組み合わせが保護されるのです。